パラドックスVSクロウ×遊星でギャグ

パラ兄さん消えていない前提

 

 

 

未来から来た男、パラドックス

遊星からスターダストを奪い、過去へ行って歴史を変えるようとした男は、遊星達によって倒され、オレ達は消滅せずにすんだ。

 

なのだが・・・

 

過去と未来のトライアングル

「・・・理由は解った」

オレは眼を閉じて答えた。それを見ていた遊星は表情を一つも変えず「そうか、ありがとうクロウ」と答えただけだ。

「お前も無事で、スターダストは無事だったのはわかった・・・でもよ!」

ビシッと指差す。

遊星の隣には、キョトンとした顔の金髪のあの男・・・パラドックス。

「どうしてこいつがココにいるんだよ!!」

「・・・さあ」

オレの質問にパラドックスは不思議そうに答える。オレはお前に聞いていねえええ!!

「恐らく[赤き龍]が助けたんだ・・・」

―未来で辛い思いをした彼を、この時代で生きさせる為に・・・

捨てられた猫みたいに下を向いた遊星を見てオレは声を詰まらせた。

いや、お前が無事だったから良かったんだ。

「でもよ・・・」

つかつかとオレは今回の元凶である「そいつ」に歩み寄った。でもこいつ、表情一つ変えずにオレを見下す。(正確に言えば普通に見ていると言った方が早いだろう)

畜生・・・どうせオレは小さいですよ!!

「元はといえば、お前が原因なんだろうが!謝罪の言葉も何もないのか??!」

顔が近いだろう、と言われるくらいに顔を近づける。

「私は滅亡した未来を変えたかった・・・遊星たち彼らには迷惑をかけたと思っている・・・なのに私はこうして助けられ、生きながらえてしまったのだからな」

オレから視線を逸らし、こいつもしょぼんとした顔をして下を向いちまった・・・。おい、大の男がそんなんで良いのか?!

「だがパラドックス、お前はこうして生きているんだ、過去を変えるんじゃなく、未来を変えるために今後を生きたらどうだ?」

「・・・遊星・・・」

心配そうな顔をして遊星がパラドックスに声をかける。それに気付いてパラドックスの野朗が遊星の方を向いた。

背景に華が舞っていそうな見つめ合う二人・・・。

 

「ちょっと待てええええええええ!!」

オレは二人の間に割って入った。

冗談じゃねえ!こんな得体の知らねぇ奴に遊星渡してたまるかってんだ!!

「大体、こいつをどうするつもりなんだ!?まさかここに寝泊りさせるってんじゃないだろうな?!」

「・・・暫くの間は、そのつもりでいた」

そのつもり??ちょっと待て遊星・・・。

「馬鹿言うな!唯でさえジャックは働かないし、新しく入ってきたブルーノの世話だけでも結構生活費とか大変なんだぞ!お前とオレの働き分で何とかしてるってのに、無理に決まってるだろう!?」

拳を天に上げ、息継ぎをしないで一気に喋り終える。ぜーぜーと息を切らしているオレに対し、

「・・・勿論、これ以上、君に迷惑をかけるつもりはない」

「本当にすまなかった」とパラドックスは踵を返し、自分のDホイールへ行く。それを見て遊星が慌ててとめた。

「待ってくれパラドックス、2・3日だけでもここに居てはどうだ?」

何?という顔をするオレとパラドックに対し、遊星はさらに続ける。

「戦いでお前も疲れているだろう?それに、オレはお前のDホイールの技術を教えて欲しい」

とニコッと笑う遊星。・・・畜生、一瞬見とれちまったじゃねーか。

「だが、ここにいたら・・・」

「2・3日くらいなら何てこと無いだろう?クロウ?」

フッとこちらを向いた遊星。

う〜む・・・。

確かに「SINWORLD」とかいう負けたら死んじまうフィールドカードは戦いで消滅しちまったみたいだし、[紅き龍]が助けたって事は、もうコイツには戦う意思も過去を破壊するって考えもないのかもしれねぇ。

それに・・・Dホイールの技術かぁ、過去や未来を行ったり来たり出来るんなら、スゲー技術なんだろうなぁ。

「・・・まぁ、2・3日くらいなら・・・な」

それくらいなら大丈夫だろう・・・多分。

「ありがとう、クロウ!」

瞬間、遊星の奴、スゲェ嬉しそうな顔でオレに礼を言う。こんな顔・・・サテライトとシティが一緒になった時以来だ。

やべ・・・直視できねぇ。

「あ・・・あぁ」

そう言うと遊星は倉庫ン中へ行っちまった。後に残ったのはオレとコイツ。

「クロウ・・・だったな」

おいおい、初対面に対して「だったな」はねぇだろうが。そう思いつつもオレはパラドックスの顔を見ずに腕を組んで「ああ」とだけ答える。

「君の仲間には迷惑かけた、だからせめてもの罪滅ぼしに私の持っている技術力を使って欲しい」

―そして、ありがとう

その言葉にオレはパラドックスの顔を見る。凄い冷静で紳士的な態度でオレに話しかけてきた。

「まぁ、気にするなよ」

もしかしてコイツ、普通だと結構良い奴なんじゃないのか?

取り合えずは2・3日は宜しくな、とオレは笑いかけた。

するとそいつも同じようにヤンワリと笑いながら、オレとすれ違いに・・・。

「不動遊星・・・あの時、スターダストではなく「彼」を奪っておけばよかったかもしれない」

ピタ、とオレの周りの空気の流れが止まる。

「君も遊星を意識しているようだが、私も彼に興味が湧いた・・・あの時の戦いでの彼の眼差しは歴代の決闘者に負けないくらいの澄んだ瞳をしていた」

おい・・・ちょっと待て・・・??

「暫く彼と一緒に居られる事、そして君の好意をありがたく受け取らせていただくよ・・・でも」

―君とは良いライバルになれそうだ

オレはバッとパラドックスの方を振り向くと、顎に手を置いて俺の方をチラと見る。ジャックより背の高いコイツは、視線を下に向けてオレを見つつ、なにやら小さくポツリと呟いた。

その言葉を聞いて呆然としたオレに対し、あいつは流し目でフッと笑って倉庫へと入って行った。

 

「ねぇねぇクロウ!さっきの彼、凄い良い人だよ!」

ブルーノが龍亞見たくはしゃぎながら、噴水の前で銅像の如く立っているオレに話しかける。

「すごいんだあの人!メインエンジンやブースターの点火の早さや、大きめのショックの対応もすごい上手く・・・」

「あいつは今どうしてる?」

オレの今の状況を知ってか知らずか、ブルーノはさらに続ける。

「うん、彼なら今遊星と一緒に・・・」

言って流石のブルーノも言葉を詰まらせた。

後から聞いた話だと、どうやらオレの背後に恐ろしい形相のBFドラゴンを見たらしい。

[未来ではなく、彼の心を変えてみるのも面白いかもしれない]

 

「上等だ!テメーをブッ倒して未来へ強制的に返してやるぜ!!!」

 

 

 

[そう叫んで数時間後、クロウがあの人と戦ったんだけど、あっけなく負けてしまって落ち込むクロウと、冷静でありながらも嬉しそうな顔の金髪のあの人が遊星と凄く嬉しそうに会話していた。

うん、今日も平和で何よりだ!

さてと、夜食にカップラーメン食べよう!
                            ○月○日晴天 ブルーノの日記]

 

 

***********************************

 
映画で狙われた遊星を助けにクロウが登場すると考えていましたスイマセン。