毎回ながらアンチノミーさんはブルーノっぽいです。
ぼくらの日常
「ちょっとぉ!パラドックス聞いてよ!」
今日も今日とてドタバタと騒がしい、ふぅ、とため息をついてパラドックスは机の上に研究資料を置いた。
「どうした騒々しい」
「プラシドのやつ、いきなり殴ってくるんだ!これって虐待だよね?」
立ち上がったと同時にルチアーノが子供のように(実際子供なのだが・・・)パラドックスにしがみついてくる。マントのような腰布に顔をこすり付け甘えるしぐさに黙ったまま頭を撫でる。
「貴様がさきに手を出したんだろう、俺のせいにするな」
「んだよぉ!下っ端のくせに生意気だろ!」
靴音を立てながら部屋に入ってくるプラシドが怒り心頭に部屋へ入ってくる。何時も常備している剣が握られている。彼はまさかここでこんな物騒な物を振り回すのか、そうパラドックスは額に手を置いた。
「人の部屋で騒ぐな、原因は何なのだ?」
「勝手にメンテナンス中のオレのDホイールに触れたんだ」
「ちゃんと尋ねただろう?大体、直ぐにそうやって怒るその性格、何とかした方がいいんじゃないの〜?ヘヘッ」
またか、この二人がこうなるのは何時もこれが原因だ。ルチアーノの何時もの甲高い笑い声に「何?!」と持っている剣を付きつけようとするプラシド。「ったく!下っ端のくせに生意気なんだよ!」とプラシドの攻撃を避けながら囃し立てるルチアーノに対し、静かに、それでいて怒りを含めた声でパラドックスは言い放つ。
「いい加減にしろ二人とも!ルチアーノ、プラシドのDホイールは確かに性能も構造も見事だが、メンテナンス中に触れて自身やDホイールに何かあったら大変だろう?」
「むぅ・・・」
ルチアーノは口を尖らせ、不貞腐れたように横を向く。
「プラシド、彼も悪気があって触れたわけではないだろう?もうその辺で許したまえ」
「・・・ふん」
少し頭が冷えたのか、持っていた剣をそのまま鞘に収めた。それを見てニッと笑ったルチアーノがパラドックスに再び抱きつく。
「ふふん、やっぱりパラドックスは話がわかるよ!」
「ル、ルチアーノ!気安くパラドックスに抱きつくな!」
パラドックスにしてみれば、何時ものことであるが、プラシドは再び頭に血が上ったのか、剣に再び手を掛けようとする。
「あっれぇ〜?プラシドどうしたのかなぁ〜?顔が真っ赤だよ?」
「うるさい!」
やれやれ、疲れた顔をしてパラドックスは二人を交互に見る。「喧嘩しているが、これでも本来は同じ人物・・・」そう思いながらも机の上に置いた資料に視線を送る。今のパラドックスにとっては、この二人の喧嘩より、一週間近くも悩んでいるこの研究を完成させたかった。
「ねぇ、何を話してるのさ?」
「あ、アンチノミー」
怒涛のような声が気になったのか、アンチノミーが不思議そうな顔をして扉を開けた。
「あぁ〜、ルチアーノ、パラドックスは僕のだよ!」
ルチアーノと同じくアンチノミーが背後から抱きしめてくる。頭痛がする、彼らのプログラムがおかしくなったのか・・・。そう呟きながらパラドックスはアンチノミーを見る。それにさらに怒りを覚えたのか、キン、という鋭い音を立てて再びプラシドが鞘から剣を抜き出しアンチノミーの首元に突きつける。
「貴様等何をしている!さっさと離れろぉ!!」
「悪いが今色々と忙しいのでね。話なら後にしてくれないか?」
そろそろ研究に移らないと、そう思いつつしがみついている二人を引き剥がそうとする。
「え〜、研究なんてまた後でもいいじゃん」
「この研究は直ぐに完成させなくてはならない・・・アンチノミーもそろそろ離れるんだ」
「ん〜、もう少し」
そういいながらアンチノミーはパラドックスの髪に顔を近づける。
目の前で銀色に光るものが走ったと思うと、アンチノミーが驚いて尻餅をついた。我慢の限界だったらしいプラシドが剣で攻撃を仕掛けてきたのだ。
「うわっ!何するんだよプラシド!?」
「離れろと何度言ったら解る!だが安心しろ!この場で壊れたとしても後で治してやる」
空気を切り裂く音が部屋に響く。慌ててパラドックスから離れたアンチノミーは部屋のあちこちへと逃げ回る。
「待てプラシ・・・」
パラドックスが止める間もなく、バキッっと言う小気味良い音を立てて机が真っ二つになる。
バサッと中に白い紙が綺麗に真っ二つになり宙に舞い、パサパサと音を立てて足元に落下した。
すべての白い紙・・・もとい資料が落下し終えると、耳が痛くなるほどの沈黙が流れる。
「・・・あ、僕そろそろ帰らないとぉ」
側に立っている金髪の髪の男から感じる異様なまでの「何か」に反応し、ルチアーノはそそくさとその場から立ち去った。
「・・・えっと・・あの・・・パラドックス??」
「・・・ふ・・・ふん!元はといえば・・・」
「元は・・・・何なんだね?」
あわあわと手を振って彼の怒りを静めようとするアンチノミーと、剣を鞘に収めて視線を逸らすプラシド。
無言に怒りをあらわにしている彼は、黙ったまま棚においてあったデュエルディスクを装備した。
外に逃げ出したルチアーノが聞こえた物は、一匹の金色のドラゴンと爆発音、「暴力反対!!」と叫ぶ仲間の声だった。
『先ほどこちらへ戻ってくる時に何か爆発音が響いていたような気がしていましたが・・・パラドックス、何かありましたか?』
ふわふわとアンモナイトのような機械に乗って尋ねるZONEに対し、「何、実験が成功か失敗か試していただけだ」とパラドックスは静かにに答えた。
「ね〜ぇ、そういえば、あの二人ってどうしたのさ?」
「どこへ行ったのかは、元、私の部屋を調べてみたらどうだい?」
その「元」という言葉に近づいてきたルチアーノは何かを察し、「どうなったんだのかなぁ〜」と意気揚々と廃墟と同じように破壊された彼の元、部屋へと走り去った。
数分後、ものの見事に真っ二つになった仲間を、ルチアーノから連絡を受けたホセが運んでくるのは言うまでもなかった。
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アポリアが分裂してたら、イリアステルはフリーダムのような気がしてならないです。
アンチノミーさんも平和な時はブルーノみたいな性格だったらおkです。
そう考えるとコツコツ真面目にやっていそうなのはパラさん・・・??