ヨハン復活記念でヨハ十

覇王様も登場。

 

訪問せし者

 

 

静かに登っても階段の音は闇夜に響くことにオレは少し苛立ちを覚えた。レッド寮の階段は全く新築していないせいもあって、手すりを触ると赤錆が付着する。

「まいったなぁ」

そう呟きながら階段を登り切り、ある入り口の前に立つ。

「・・・よし」

オレは取り合えず辺りを見渡す。もしかして、翔や剣山が来るのは少し厄介だ。後は下の階にいる、万丈目も物音で目を覚ましたりしては困るしな。

まぁ、そこはルビーやアメジストキャット達が何とかしてくれるし・・・

オレはオレの仕事をしなくては!

 

 

このデュエル・アカデミアに留学して出会った人物、オレと同じで精霊が見れる存在・・・結城十代。

何時も明るいあいつにオレは他の奴らと同じで惹き込まれていた。

そして何時しか持ったこの思いをあいつにぶつけてみた。

 

[十代、オレ、お前が好きだ!]

[ああヨハン、オレも好きだぜ]

 

・・・十代、その好きとは「仲間」のことだろう・・・。

何度言ってもあいつにオレの本当の気持ちは通じなかった。

ならば・・・!最終手段に出たのが、これだった。「よしっ!やってやるぜっ!!」オレの言葉に感動して応援してくれる宝玉獣達の声が部屋に木霊した。

 

オレはポケットから部屋の鍵を取り出す。

実は十代から「何時でも決闘を待ってるから、合鍵貸すぜ」と借りたんだ。まさか、ここで役に立つとは・・・。

 

鍵を静かに指すとそれをガチャリ、と回した。

一度寝たら自分が起きるまで起きない奴だ、鍵の開いた音くらいで起きないのは知ってる。だから心配しなくて大丈夫だ。

 

ゆっくりドアを開けると部屋は勿論電気が消えていて暗い。わずかにカーテンの隙間から月明かりが漏れているだけだ。

足音を立てずにベッドへ近付くと、一番下のベッドでジャージ姿の十代が、まるで猫のファラオのように横向きで丸まっている。

「お前は猫かよ」

そう思いながらも顔を除きこむと、くーくー小さなイビキを掻きながら口からヨダレだして寝ている。

「本当に無防備すぎるっての」

そう言いながら、オレは眠っている十代に顔を近づけて口を付けた。

「ん・・・」

息苦しくて、顔を背けようとするが、両手でしっかりと固定する。あまりに苦しいものだから十代が少し口を開ける。それを見計らったオレはすかさず舌を入れる。

「ふく・・・ぅ」

苦しさのあまりに目尻から少し涙が流れる十代を見て、オレの体が熱くなった。

(やべ、スッゲー興奮する)

十代、オレは今回このために来たんだぜ。お前に対するオレの気持ちは身体に直接ダイレクトアタックしないと受け取ってもらえないみたいだからな。

「さて、と」

十代、ちゃんとオレの気持ち受け取れよ!!

オレは何処ぞの有名な泥棒の如く、眠っている十代に服を脱いで目掛けてダイビングした。

 

「・・・貴様、何をしている」

 

一瞬目を覚ました十代の目が金色に見えたのは気のせいだったか・・・。

いや

気のせいなんかじゃなかったさ・・・。

 

 

 

「ふぁ〜、よく寝たぜ」

十代は大きな欠伸をしながらベッドから降りる。ボロボロのカーテンの隙間から朝日が漏れている。

「アニキ!起きたッスか?!」

バタバタと翔が階段を駆け上り、勢いよくドアを開いた。

「おお!ワリィな翔!今起きたからよ」

あははと笑いながら何時もの服に着替える。「昨日スゲー変な夢みちまってよ」

「夢ッスか?」

どうせまた巨大エビフライに押しつぶされた夢でも見たんでしょ、と笑われて言われるが、「違うって!」っと叫ぶ十代。

「夢に全裸のヨハンが現れたと思ったら、オレが覇王になってそれを吹っ飛ばしてたんだ」

変な夢だろう?そう言うと翔が眉間に皺を寄せ答える。

「・・・そういえば、さっきヨハンが顔中怪我だらけで教室に歩いていったッスよ?」

「ヨハンが?一体何があったんだ?」

「階段からでも落ちたんじゃないッスか?」

 

 

 

「あーあ、どうしてこうなったんだろうな」

授業が終わった後、オレは自室に戻り、ベッドの上で寝転んでいた。ピョコン、とルビーがオレを心配して顔の怪我を舐める。

「あはは、ありがとうなルビー」

[ったくヨハンったら、起きている時に抱けばよかったじゃないの]

「でも夜這いの方が結構面白いだろ?」

ベッドの下で丸まっているアメジストキャットがため息交じりに言う。

「でもあいつ、寝顔結構可愛かったんだよな・・・」

でもあいつ・・・行き成り金色の瞳になってたな・・・。まぁ、あれもスゲー良かったけどよ。

・・・殴られたのは痛かったけどな。

よし、また明日にでも出直してこよう!そう思ったオレは大きく欠伸をして眠りに付いた。

 

 

ガチャン、と窓ガラスが割れる音がして、オレは目を覚ました。

「・・・なんだ?」

上半身を起こして視線を送ったオレの眠気は一気に吹っ飛んだ。そこには辺りを伺う見慣れた姿・・・。

「じゅ、十代?!!」

どんな暗闇だろうかオレの目はごまかせない。間違いなくオレの部屋にいたのは十代だ。

「・・・」

十代が無言でこちらに来る。ま・・・まさか・・・!?

 

『ヨハン・・・昨日は何で途中で帰ったんだよ』

『ゴメンな十代、ちょっと昨日は色々あってな・・・』

『オレ、あの時・・・凄く期待していたんだぜ・・・だから』

 

「そうか十代!オレのためにまた来てくれたんだな!!」

まるで辺りに春でも来た見たいな暖かを感じた。さあ十代、オレの胸に飛び込んで来い!!

両手を広げたオレの姿を見て驚いたのか、ルビーが毛を逆立てて消えてしまう。

「・・・見つけた」

すたすたと十代がこちらにやってくる。

「さあ、オレとお前の長い夜を楽しもうぜ!」

「ああ、そうだな」

そう言って十代は・・・いきなりオレの目の前でデュエルディスクを装備し・・・。

 

 

「なぁ、翔」

「どうしたんすか、アニキ??」

「さっき聞いたんだけど、ヨハンの奴が大怪我負ったらしいんだ」

どうしたんだろうな?と、ヨハンに差し入れのドローパンを抱えつつ、十代は不思議そうに首をかしげた。

 

『・・・あの男だけは、十分注意したほうがよさそうだな』

「ん?」

差し入れのドローパンの一つを銜えながら、何処からか聞こえた声に反応しつつ、十代は海鳥の鳴く空を見上げた。

 

 

 

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ヨハン再放送再登場記念。どうしてヨハンは十代の前じゃあ爽やか好青年になっているのか←
もうあの時から狙っていたのかと思った(え

 

覇王様は十代に対しては良き保護者ッぷりでもジムの前ではツンデレと信じています。